医学的作用 乳酸と運動の関係
私たちは体を動かす時、エネルギーが必要です。このエネルギー源は、主にグルコース(ぶどう糖)と呼ばれるものです。グルコースは、私たちが食事から摂取する炭水化物などに含まれており、体内で分解されてエネルギーへと変換されます。エネルギーを生み出す反応は、大きく分けて二つの段階に分けることができます。最初の段階は、酸素を必要としない反応です。グルコースは、体内でいくつかの段階を経てピルビン酸と呼ばれる物質に変化します。この過程を解糖系といい、比較的少量ですがエネルギーを生み出します。この段階では、酸素は必要ありません。つまり、息を止めていてもエネルギーを作り出すことが可能です。次の段階では、酸素が必要になります。十分な酸素が体内に供給されている場合、ピルビン酸はミトコンドリアと呼ばれる細胞内の小器官に取り込まれ、さらに分解されます。この過程で、大量のエネルギーが作り出されます。私たちが運動を続けるためには、このミトコンドリアでのエネルギー産生が不可欠です。しかし、激しい運動などを行うと、体内の酸素消費が供給を上回ることがあります。つまり、体内に取り込む酸素の量ではエネルギー需要を満たせなくなる状態です。このような酸素不足の状態になると、ピルビン酸はミトコンドリアに取り込まれずに、代わりに乳酸へと変化します。これは、酸素が不足した状態でも、限られたエネルギーを産生するための体の反応です。結果として、体内に乳酸が蓄積していくと、筋肉の疲労や痛みを感じることになります。つまり、乳酸は、エネルギー産生のために酸素が不足した時にできる物質であり、激しい運動による疲労物質と捉えることができます。
